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来年やりたいこと 100 の作り方 — 年末に棚卸しして「1 年の枠に入れてはいけないこと」を見分ける

霜の降りた冬の畑に、低い朝日が射している風景。年の変わり目に一年を見渡すイメージ
Photo by James Coleman on Unsplash

1 月に書いた「今年やりたいこと 100」が、3 月には開かれなくなる。

書き方が悪かったわけではありません。原因は、100 個を「1 年」というひとつの箱に入れたこと にあります。

100 個のうち、本当に来年でなければならない項目はせいぜい 20 個です。残りの 80 個には、来年でも再来年でもいい項目と、来年に送った瞬間に永久に消える項目 が混ざっています。この 3 種類を分けないまま同じリストに並べるから、優先順位がつかず、どれから手をつけていいか分からなくなり、開かれなくなる。

この記事では、年末の棚卸しから来年のリストを書き、そのうえで「1 年の枠に入れてはいけない項目」を別の層に逃がすところまでを手順にします。

年末の棚卸しは、3 つの問いで足りる

世の中の振り返りテンプレートは項目が多すぎて、振り返り自体が続きません。来年のリストを書くという一点に絞るなら、必要な問いは 3 つだけです。

問い 1: 今年やったことのうち、5 年後も人に話しているものはどれか

「満足したか」ではなく 「思い出す回数が多いか」 で選びます。この基準で見ると、支出額と記憶の残り方がまったく比例していないことに気づきます。

高かった旅行が 1 回しか思い出されず、思いつきで行った日帰りの山が何度も再生される。この非対称が、来年どこに予算を寄せるかの判断材料になります(思い出の配当を最大化する 7 つの方法)。

3 〜 5 個挙がれば十分です。1 個も挙がらなかった年は、それ自体が来年のリストへの最も強い入力になります。

問い 2: 今年やらなかったことのうち、来年もできるものはどれか

これが棚卸しの核心です。

やらなかった項目を数えて反省する時間は要りません。代わりに、やらなかった項目を次の 3 つに仕分けします。

仕分け中身来年の扱い
来年もできる期限が自分の都合だけで決まる項目急がない。年代帯の箱へ
来年が最後かもしれない親・子・祖父母・体力・その店や場所の存続に締切がある項目最優先で来年の箱へ
もう窓が閉じた子供の年齢帯が過ぎた、店が閉まった、体力的に無理になったリストから消す

3 つ目の「もう窓が閉じた」を、目をそらさずに書き出すのが重要です。閉じた窓を年に 1 回だけ直視すること が、来年の優先順位を決める最大の燃料になります。

問い 3: 今年、平日の夜と休日はどこに消えたか

来年のリストが実行されるかどうかは、意志ではなく空き枠の量で決まります。

今年 1 年で、平日の夜と休日が実際に何に使われたかを、ざっくり時間で割り出します。通勤、残業、家事、SNS、動画、寝落ち。ここで出てきた数字が、来年 100 個のうち何個を実際に置けるかの上限です。

やりたいことが多すぎて時間が足りないと感じる人は、やりたいことが多すぎるときの優先順位のつけ方 を先に読んでおくと、この後の仕分けが速くなります。

100 個は「4 つの引き出し」から集める

白紙から 100 個をひねり出そうとすると、多くの人が 40 個前後で止まります。年末に書くなら、引き出しを 4 つ用意して、そこから引くほうが速い。

1. 今年の延長線から 40 個 — 今年やって良かったことの「もう一段深いバージョン」を書きます。日帰り登山が良かったなら山小屋泊、近所のパン屋巡りが良かったなら他県のパン屋。ゼロから思いつくより、既にある熱を伸ばすほうが実行率が高い。

2. 今年の反動から 20 個 — 今年足りなかったもの、我慢したもの、疲れの原因になったものの逆を書きます。「人と会わなすぎた」なら会いたい人の名前を 10 人。「座りっぱなしだった」なら体を動かす具体的な種目。

3. 他人の 1 年から 20 個 — 友人、同僚、SNS、本の中の誰かが今年やっていたことで、少しでも羨ましいと思ったものを盗みます。羨望は、自分の欲求のうち自分では言語化できていない部分を教えてくれる、いちばん正確なセンサーです。

4. 「今年が最後かもしれない」から 20 個 — 親と行く旅行、子供が付き合ってくれる遊び、祖父母に聞いておきたい話、いま体力があるからできること。ここは後の仕分けで最重要になります。

100 個の出し方そのもの、ジャンル別の項目例は やりたいことリスト 100 テンプレートと作り方 に詳しくまとめてあります。この記事はその「1 年版」なので、生涯版のリストを既に持っている人は、そこからの抜き出しでも構いません。

1 年の枠に入れてはいけない 3 種類

ここからがこの記事の本題です。

100 個を書き終えたら、次の 3 種類に該当する項目を 1 年のリストから抜きます。抜くのは、諦めるためではありません。1 年という単位で管理すると壊れる項目だから です。

種類 1: 他人の年齢に締切がある項目

親との旅行、子供と行くキャンプ、祖父母から昔の話を聞く。

これらは「来年やる / 再来年に送る」という判断の対象になりません。締切を握っているのが自分ではなく、相手の年齢だからです。

親と年に 10 日会う人にとって、親と一緒に過ごせる残りは「あと 20 年」ではなく 190 日 です。介護が始まる前の、一緒に旅行や外食ができる期間で数え直すと 80 〜 100 日しかない。この項目を「今年は忙しいから来年」と送ると、送った年数ぶんが単純に消えます。

子供の場合はもっと早い。子供と濃密に過ごせる時間の大半は 12 歳までに消化されます。小学校 3 年生の子と秘密基地を作る計画を 3 年送ったら、それは中止と同義です。

種類 2: 自分の体力に締切がある項目

バックパッカー旅行、フルマラソン、標高の高い山、長時間のフライトを伴う旅。

体力の締切は緩やかに近づくので、締切があること自体に気づきにくい。海外旅行の「行けるうち」は旅のスタイルごとに違い、周遊型の旅とリゾート滞在では 20 年近い差があります。

日本人の健康寿命の平均は男性 72.57 歳、女性 75.45 歳(2022 年・厚生労働省)。ここから逆算すると、体力を前提とする項目には自分の年齢に紐づいた期限が必ず存在します(健康寿命と人生設計)。

種類 3: 「来年である必然性」がない項目

英語を勉強する。本を 50 冊読む。副業を始める。

これらは重要かもしれませんが、来年でなければならない理由がありません。理由がない項目を 1 年のリストに大量に入れると、締切のある項目が締切のない項目に埋もれます。これが「100 個書いたのに何も進まない」の正体です。

100 個を 3 つの箱に振り分ける

抜いた項目は捨てるのではなく、別の箱に移します。最終的に持つのは 3 つの箱です。

箱 1: 来年の箱(20 〜 30 個)

  • 種類 1 と種類 2 に該当する項目を 全部ここに入れる(締切が来ているので最優先)
  • そのうえで、来年やりたいものを空き枠のぶんだけ足す
  • 各項目に、月または季節を書き添える(「桜の時期に」「夏休みに」「決算が終わった 6 月に」)

箱 2: 年代帯の箱(残りの大半)

30 代のうちに、40 代のうちに、50 代のうちに。10 年単位の枠へ置き直します。これが タイムバケット です。1 年に収まらない項目は、消すのでも先送りするのでもなく、10 年の枠に置く

置いておけば、毎年の年末に「そろそろこの年代帯が終わる」という形で自動的に浮かび上がってきます。1 年のリストからは消えますが、人生のリストからは消えません。

箱 3: 捨てる箱

3 年連続で繰り越された項目、他人の価値観を書き写しただけの項目、「もう窓が閉じた」項目。ここに入れた数だけ、来年の箱が軽くなります。捨てるのは失敗の記録ではなく、判断が済んだという記録 です。

1 月のリストを 12 月まで生かす 3 つの仕掛け

年末に書いたリストが 3 月に死ぬ理由と対策は バケットリストが続かない 5 つの理由 に体系的にまとめていますが、1 年リストに固有の仕掛けを 3 つだけ挙げます。

季節に紐づける — 「今年中に」は 12 月末に集中して破綻します。「桜の時期」「梅雨明け」「紅葉」「年末年始」のどこかに置くと、季節の到来が通知の代わりになります。

四半期の頭に 15 分だけ開く — 1 月、4 月、7 月、10 月。やることは進捗確認ではなく、次の 3 ヶ月に置く項目を 3 つ選ぶこと だけです。100 個を毎回見渡す必要はありません。

達成した項目を消さずに残す — 消すと、12 月に振り返る材料がゼロになります。達成した項目に日付だけ添えて残しておくと、翌年の問い 1(5 年後も話しているものはどれか)が一瞬で答えられます。

年末にやることの手順

  1. 今年やったことで、5 年後も話しているものを 3 〜 5 個書く
  2. 今年やらなかったことを「来年もできる/来年が最後/窓が閉じた」に仕分ける
  3. 4 つの引き出しから 100 個を出す
  4. 他人の年齢・自分の体力に締切がある項目に印をつける
  5. 印のついた項目を全部「来年の箱」へ入れる
  6. 残りを「年代帯の箱」と「捨てる箱」に振り分ける
  7. 来年の箱の各項目に、月または季節を書く

所要はおよそ 90 分。年に 1 回、この 90 分に投資する価値があります。

まとめ

来年やりたいこと 100 の目的は、100 個を達成することではありません。100 個の中から、来年しかできない 20 個を見つけ出すこと です。

そして 1 年のリストだけを持っていると、この 20 個が永久に見つかりません。1 年の箱と、10 年ごとの年代帯の箱。この二層を持って初めて、「今年は忙しいから来年」と言っていい項目と、言った瞬間に消える項目が区別できるようになります。

年代帯の箱の作り方は タイムバケット完全ガイド(印刷用の PDF テンプレートを無料で配布しています)、その背景にある考え方は DIE WITH ZERO 完全要約 にまとめています。

まずは、今年やらなかったことを 1 つだけ思い出して、それが「来年もできること」なのか「来年が最後かもしれないこと」なのかを判定してください。100 個を書き始めるのは、その後で構いません。


FAQ

よくある質問

年末の振り返りと、来年のリスト作りは分けたほうがいいですか?
同じ日に、この順番で続けてやるのが最も効率的です。振り返りを別日にすると、リストを書くときに「今年何をやったか」の解像度が落ち、去年と同じ項目を書き写すだけになりがちです。所要時間は振り返り 30 分、リスト作り 60 分ほどを見てください。
100 個も書けません。40 個くらいで止まります。
止まるのは自然です。100 という数字の役割は「達成すること」ではなく、40 個目以降に出てくる、本当は気になっていた項目を引きずり出すことにあります。本文の「4 つの引き出しから集める」の手順を使うと 40 の壁は越えやすくなります。個数の出し方そのものはやりたいことリスト 100 の作り方に詳しくまとめています。
去年書いたリストがほとんど達成できていません。書き直す意味はありますか?
あります。ただし同じ形式で書き直すと同じ結果になります。達成率が低いリストは、意志ではなく 1 年に収まらない項目を 1 年の箱に入れていることが原因であることがほとんどです。本文の「1 年の枠に入れてはいけない 3 種類」で仕分けてから書き直してください。
目標と「やりたいこと」は分けるべきですか?
分けてください。目標(資格を取る、体重を落とす)は達成条件が外にあり、やりたいこと(あの街に行く、あの人に会う)は達成条件が自分の中にあります。混ぜると、達成しやすい目標だけが消化され、やりたいことが毎年繰り越されます。同じリストに入れるなら、少なくとも印だけは分けておきます。
年の途中(4 月や 9 月)から始めても大丈夫ですか?
問題ありません。むしろ 1 月に始めるリストの弱点は、世の中全体が同じタイミングで始めて同じタイミングで飽きることです。年度替わりの 4 月、誕生日、大型連休の前など、自分の生活が切り替わる日を起点にしたほうが続きます。

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